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Frances: Undateable?「フランシス・ハ」

 「あのタランティーノ監督が"2013年の映画ベスト10"に選出!」というのもむべなるかな、「フランシス・ハ」は傑作だ。

 

  

 

ロメール2.0

 フランス映画へのオマージュあふれる、という部分もツボだが、それ以上にグレタ・ガーウィグ演じるフランシスの魅力&愛嬌に尽きる!

 デヴィッド・ボウイの「モダン・ラヴ」で主人公フランシスを走らせるのはレオス・カラックスの「汚れた血」のドニ・ラヴァンへのオマージュだが、どちらもほとばしる刹那の青春を感じさせる。

 アラサー女性の彷徨ストーリーはエリック・ロメール的。だが数々の引用にもかかわらず鼻につく感じは全くなく、むしろよりよい形でフランス映画の遺産がアップデートされている。「ロメール2.0」といったところか。

ソフィーについて

 フランシスの親友ソフィーを演じたミッキー・サムナーは、なんとスティングの娘。

 字幕の字数制限からはみ出したところをちょっと見てみたい。

 レヴとベンジーにソフィーについて説明する場面。

Well, we're best friends. She's been to my house for Christmas three times.

(ソフィーとは親友同士なの。クリスマスに3回うちに来た)

Why doesn't she go to her own house?

(ソフィーは実家に帰らないの?)

She's Jewish.

(彼女、ユダヤ系だから)

  この会話が気になって調べるまで、ユダヤ系がクリスマスを派手に祝わないということを知らなかった。

 逆に、ニューヨークに関してもっと知識があるとこういう映画をもっと楽しめるのだろう。

 

非モテ系(undateable)

 この映画で何度も登場する「非モテ」というキーワード。

 原語では「undateable」と言っている。

 フランシスが「愛がなきゃ(セックスはダメ)」とか「私は家から出るのも億劫。ヴァージニア・ウルフの小説みたい」などと言うたびにベンジーがからかい半分で「Frances: undateable.(非モテ確定/恋愛対象外)」と繰り返す。

 フランシス本人もプルーストを原書で読みたいと言った後で「Undateable.(恋が遠のく!)」と冗談めかして使っている。

 ズボラで行動が非合理的。確かに現実世界にいるとundateableだが美しいスクリーンで見るとものすごく魅力的に映る。それがFrances Haだ。