ジャック・ロジエの短編『新学期』
ジャック・ロジエ(Jacques Rozier)のデビュー短編映画『新学期』(Rentrée des classes)。
ポルトガル語字幕しかついていないが幸いYouTubeで見ることができる。
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あらすじ
フランスのある田舎町。学校に行く途中、ルネは同級生に「川にカバンを投げたら50lフランあげる」と言われる。ルネは言われたとおりに自分のカバンを川に投げ込むが、同級生が約束どおりに50フランを渡さないので怒る。
ルネは学校をサボり、1人でカバンを捜すことにした。川を下り、林の中でようやくカバンを見つけるが、木漏れ日や水の流れに魅せられ、川で遊び続ける。
水ヘビを見つけたルネは、水ヘビを捕まえてハンカチにくるむ。そして、ようやく登校する。
教室に着いたルネ。担任の教師に宿題のノートを見せるように命じられ、ずぶ濡れのカバンからノートを取り出す。作文に間違いがあると教師に言われたルネは、祖父を教室に連れてくる。実は祖父が書いた文章だったのだ。教師はルネを怒る代わりに、祖父に間違いを指摘し、子供たちと一緒に祖父を机に座らせて勉強をさせようとする。
するとその時、ルネに「50フランあげる」と言った同級生が叫び声を上げた。ルネが水ヘビを同級生のノートの中に忍び込ませたのだ。子供たちと教師はパニックになり、教室を飛び出す。
水ヘビを捕まえたルネは、しばらくの間、水ヘビを見せびらかして子供たちを驚かせた後、川に向かい、水ヘビを川に返してやるのだった。
感想
川の流れを映画の中心に据えて撮った点は、ジャン・ルノワールの『ピクニック』のようだ。印象派的と言ってもよい。
また、フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』のように、無邪気な子供たちをうまく描いている。いや、『新学期』は1956年の作品なので、『大人は判ってくれない』よりも早い。
短編映画だが、ジャック・ロジエのセンスを随所に見ることができる。どこかサイレント映画風の、あるいはジャック・タチ風のユーモアがある。個人的にはジャック・ロジエの作品で一番好きかもしれない。
そして、子供たちが水ヘビに驚いて教室を飛び出し、階段を駆けるシーンでは、どこにあったか知らないが、乳母車も一緒に走ってくる。『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段のパロディーはいろんなところで行われているが、世界で初めてこのパロディーを作ったのは、もしかしたらジャック・ロジエなのかもしれない。
他のロジエ作品
日本では「ジャック・ロジエDVD BOX」と「アデュー・フィリピーヌ」が出ているが、いずれも廃盤。中古は高値がついている。当分お預けですね。