愛は続いているかぎり無限だ(ヴィニシウス・ジ・モライス)
Eu possa me dizer do amor (que tive):
Que não seja imortal, posto que é chama
Mas que seja infinito enquanto dure.
予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語 (Obras de Garc〓a M〓rquez (1976-1992))
- 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,野谷文昭,旦敬介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 単行本
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ガルシア・マルケス『十二の遍歴の物語』の『電話をかけに来ただけなの』に引用されている詩。
邦訳は「愛は続いているかぎり永遠なのよ」。
しかし原語では「(愛は)不滅ではない。炎のように消えるから。でも続いているかぎりは無限だ」という意味。
仏語訳Je ne voulais que téléphonerでも、L'amour est éternel tant qu'il dure.なので、おそらくマルケスがモライスの詩を少しいじっている。
素晴らしい詩句だと思う。
永遠の愛なんかないに決まっているが、愛し合っている間は2人にとっては永遠、無限を感じさせるものだから、永遠の愛など存在しないなどと安易に否定してはならないのだ。愛の真実を僅か数語で言ってのけるモライスはやはり天才。
ちなみにこのマルケスの短編も天才的。間違って精神病院に幽閉される女の話だが、会社や学校、友達の集まりなどでもバカが多数派を占めたらまともな方が少数派になって、精神病院に幽閉されたこの女のような屈辱的境遇に陥ることだってありうる。
そういう意味では、特殊な状況を書いた小説だが普遍的な状況を書いた小説でもあるのだ。